信託とは

信託とは、財産を持っている人(委託者)が、自分が信頼する人(受託者)に財産を託して、定められた目的に従って財産を管理・処分してもらい、財産から得られる利益を定められた人(受益者)へ渡す仕組みをいいます。

たとえば、高齢の父親が委託者、長男を受託者、そして信託財産からの恩恵を受ける受益者を父親にするなど、父親と長男で信託契約を締結することにより、万が一、父親の判断能力が低下しても長男が継続して財産の管理・運用を行うことが可能です。

信頼できる家族や親族に自己の財産を託し、生前の財産管理又は柔軟かつ円滑な資産承継などを実現するための制度です。

図を参考に、登場人物などの言葉の説明をさせていただきます。

  • 委託者(=父親)

最初に「誰に、誰の為に、何を、どのような目的で託すか」を決める人を、信託契約では「委託者」といいます。
上の図では、父が委託者になっており、「生活のために、資産は家族のために残す」託すこと決めます。

  • 受託者(=長男)

上の図では、の長男のことを受託者といいます。
長男は父親から、不動産・お金を託され、家族の生活のためにお金をやりくりしています。受託者(長男)は委託者(父親)から受取った財産(信託財産)を、自由に使うことができず、あくまでも受益者(父親)のため、信託目的の範囲でしか信託財産をつかうことができません。

  • 受益者(=父親)

受託者が信託財産を使い、信託財産からの利益をうける相手をいい、ここでは、父親になります。
信託では受託者が不動産やお金の管理をしますが、受託者自身のために自由に使うことができないことになっていますので、受益者が、信託財産からの利益を受けます。

  • 信託財産(=不動産・お金)

委託者が信託のために受託者に引き渡す財産を、信託財産といいます。
上の図では、不動産とお金が信託財産となっていますが、不動産やお金に限らず財産価値のあるものであれば、信託財産とすることができます。

  • 信託監督人

受託者の財産管理に不安がある場合には、受託者が信託契約の内容を守っているか、チェックを定期的に行なってもらうために、信託監督人を選任することもできます。

  • 受益者代理人 

受益者が身体的に意思表示できない場合には、受益者のために権利を行使する人をあらかじめ選任しておくこともできます。

  • 指図権者

受託者に対して具体的な管理処分方法の指示をする人をあらかじめ選任しておくこともできます。